-er の原音

MS の長音符号騒動に関して、↓みたいなの発見
Mozilla L10N :: トピックを表示 - カタカナ用語の長音表記

長音省略の根拠は JIS Z8301 ですが、1996 だと省略(解説付表3)で 2000 だと省略しない(7.2.3 内閣告示に従う)で 2008 だとまた省略に戻ってます(G.6.2.2、表G.3)

ふざけてるなぁ、省略したりしなかったり。

原音?

長音符号省略でないと気持ち悪いって人の言い分は、大きく分けると

  • 「ー」の2バイトをケチりたい
  • 長音符号付けない方が原音に近いんじゃない?

の2つですかね。

「2バイトケチりたい」の方は、「もうそんな時代じゃない」の一言で一蹴するとして、発音の方。

そりゃね、「data」の語尾と「player」の語尾ってほとんど同じなんだけども。いわゆるあいまい母音ってやつで。
でも、単体出ててくるとほとんど同じでも、「Data is」とか「A player is」になると発音変わったり。後者は消えてた r が復活して「is」が「りず」になるんで。

というような差を表現できないカタカナで、原音にこだわることにどれほどの意味があるのかと。というか、日本語みたいな発音の極端に少ない言語で、他の言語の原音に近い表記を目指すことがそもそもナンセンス。

ただでさえ、日本語は、発音が少ないせいで同音異義語が多いわけですよ。漢字で書けば弁別できるから問題が少ないというだけで(例えば「こうしょう」ね。交渉、口承、公証、工商、高尚・・・)。カタカナ語だと同音同綴り異義語だらけになりますよ。原音目指したければ r とか th 用の文字でも新規追加しないと悲惨なことに。(た行とら行に半濁点でもつける?)

なので、「原音に近い」を目指すよりは、「同音同綴りを減らす」方向で表記する方がおそらくは合理的。

実際に消えてるのは子音の方

そうそう、あと、英語の -er は曖昧母音に化けるわけですけども、実際のところこれは子音 r の省略じゃなくて、母音の方が消えてると考える方が自然みたい。「playe」は「ぷれい」、「playr」だと「ぷれいや」な発音で読むはず。
(米語じゃなく)British な英語だと center とか meter を centre, metre と書いて、-er 語尾と同じ読みをするように、もともと英語は語尾の r を母音的に使います。

r の発音は y とか w に近くて、もともと半母音的な音です。y が子音にも母音にも使われたり、i と j、u と v と w がもともと同じものだったりするように、r も語尾に限って(強勢でないときの)a みたいな音の母音になる。(実際には、r の巻き舌のまま「あ」って言う感じ。なので、後ろに母音が続くと r が復活する。)

まあ、ちょっと話それましたけど、今回の件に関連して重要な部分は、英語(というか、欧州の北のあたりの言語はのきなみ)は子音を中心に発音するということ。常時、ktkrとかwktkとかkskみたいな発音してやがるわけですよ。

なので、英語の原音表記をめざしたければ、r とか th の発音以前に、母音省略、あるいは、曖昧母音を表す記号がないとダメ。