Ruby チップ・・・だと・・・

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100628/349693/

これはいくらなんでもちょっとひどいなぁ(「Ruby チップ」の方)。問題は2点。

注: Ruby だからダメってわけじゃなくて、Ruby の部分を Python とか .NET に置き換えたとしてもまるでダメ。

ハードウェア記述書いただけ

ハードウェア系の研究室にありがちな話なんですけども、単にハードウェア記述化しただけで「研究」と称する人が多いんですよね。(やってる本人は百も承知でやってる。こんなのを研究と呼んでいいのかわからないけど、それでとりあえず卒業できるから。)

研究っていうと、本来、何らかの問題に対して「私の知恵で問題を解決します」と言えなきゃいけないわけですが。この手のハードウェア記述しただけの研究は、

  • 問題: ハードウェア記述言語はクソなのが多いので記述が大変です
  • 解決: 根性出して書きました!

になりがち。特に、(ガベコレ部分だけとはいえ) Ruby プロセッサを作るのに、「記述が大変」以上の困難があるとはとても思えない。

というのも、昔そういう試みは「Java プロセッサ」で通った道なわけです。10年以上前に、Java のハードウェアアクセラレーターを作ろうみたいな研究山ほどありました。が、今、それが役に立っている形跡はまるでなく。

要するに、10年は前の研究、しかも芽が出ているとも思えないものを Ruby で置き換えて再発名してるだけ。もちろん、「Java だとこういう点が問題だったけども、Ruby ならその問題を乗り越えられます」と言えれば研究にもなりますが、それが示されている節もまるでなく。

地域ガラパゴス化

もう1つの問題は、「なぜ Ruby なのか」という問いに対する答えが「地域発の技術だから」でしかないんですよね。ほんとうは新規性なんてまるでないんだけど、既存研究の一部分を地域発の技術で差し替えることを指して「地域イノベーション」とか言われても。

まして、今回の場合は Java でダメなことがわかってることを真似てるわけで。なのに、「Ruby」を冠してるだけで地域振興的な意味合いのお金が出てる。それは Ruby を盛り上げることにはならず、むしろ貶めることになるのでは。あるいは、せっかく世界的に認められた Ruby というものを、再び地域ローカルなガラパゴス技術化させてしまうだけ。

ってことで、なんかもう、このニュースには「ハードウェアがらみの研究」と「地域イノベーション」ってものの問題が凝縮されてる予感が・・・