僕が TeX を使うのを辞めた3つの理由

追記: 増やした

今、こんな文書を書いている。

僕が TeX から Word に移行していったのは修士過程に通っていた頃からだ。学科の修論テンプレートはもちろん LaTeX のスタイルファイルだったが、それと見た目そっくりな Word テンプレートを作って、Word で修論を書いた。当時はまだ Office 2003 だったか。2007 になって、Word はさらに使いやすくなった。もはや TeX を使う理由は全くない。

時代は流れ、僕はもはや TeX のことなんて忘れていたんだ。でも、風のうわさで、いまだに学生は TeX で論文を書いているらしいというのを小耳にはさんだ。もうすぐ Office 2010 が出ようというこのご時世にだ。

そこで、今日は僕が TeX を使うのを辞めた理由を書いてみようと思う。

1. 一生のスキルたり得るか

「卒論、TeX で書いてるのかい?TeX なんて就職したらもう一生使わないぜ。」これが僕の率直な感想だ。企業で TeX を使っているところを見たことは一度もない。多くの理系学生が卒論を TeX で書いているにも関わらずだ。

企業では、おそらく、MS Word が2番目によく使われている文書作成アプリだ。残念ながら、1番は MS Excel になる。(今日もまた Excel 方眼紙が大量に作成されている。)そして、Microsoft 製品を嫌う会社ですら、使っているのは OpenOffice だろう。どうしてもテキストだけで文書を書きたい奴は、Wiki ページから PDF を生成している。どこにも TeX の姿なんてない。

2. プレゼンは PowerPoint

論文執筆には TeX が根強く残る一方で、プレゼン発表はどうだ。見渡す限り PowerPoint, PowerPoint, PowerPoint じゃないか。(おっと、Keynote もいたっけか。)あんまりにも PowerPoint が便利なものだから、TeX 中に埋め込む画像も PowerPoint で書いているくらいだ。

ここで1つ言っておきたい。Microsoft の製品は非常に一貫性に優れている。Word と PowerPoint で操作性が全く異なるなんてことはない。PowerPoint が使えるなら、まず確実に Word も使えることだろう。ほとんど訓練することなしでもだ。

3. Microsoft Equation Editor

「やっぱり数式は TeX」だって?いつの話をしているんだい。そりゃ、「Word 95 で書け」と言われたら僕だってお断りだ。だが、今はもう2010年なんだ。Microsoft のドル箱商品は確実に進歩を続けている。

言葉だけじゃ信じられないかもしれない。とりあえず↓こいつを見ていただけないだろうか。

分数を入力するのに \frac{a_{ij}}{b_{kl}} だって?Word 2007 以降なら、a_ij/b_kl だけで入力できる。マウス操作は一切要らない。すべてキーボード入力だけで済む話だ。TeX の数式は組版結果こそ綺麗ではあるが、お世辞にも入力しやすいとは言えない。Word 2007 以降の数式エディターは、入力しやすさ、テキストで表示したときの可読性、そして組版結果の数式の綺麗さ全てを考慮した上で設計されている。

また、Office 2010 からは PowerPoint の数式エディターもこいつに変更されることになる。これからはプレゼンと論文で同じ数式を2度書く必要はなくなるんだ。